友人宅の稲刈りを手伝った。日本の米政策や食糧事情に関しては偉そうなことを言う私だが百姓仕事はこの歳になって初めての経験だ。現在の百姓仕事は機械化が進み力仕事はあまりない。しかし 設備投資とその減価償却を考えるとお百姓さんのそろばん勘定は極めて厳しいのが現実である。田植え機、コンバイン、耕運機と少なくとも3機種は必要だ。当然 米を運ぶための軽トラック、草刈り機などもいる。年に一度使うだけのこれらの機械ではあるが当然毎年メンテナンス費用もかかる。白米に仕上げるまでには、モミを乾燥機で乾燥し、もみ殻を剥き、玄米を精米機で白米になるまで磨き上げる。また、苗や肥料、農薬を購入する費用も必要だ。これに人件費がかさむ。かなり大きな田んぼをよほど効率よく運営しないと採算がとれる仕事ではない。多くの農家が先祖から受け継いだ田畑の維持と後継者の不足に悩んでいる。どのこ農家も高齢化している。この先日本の少子高齢化、人口減少を考えると今の田畑の景観を残していくのは極めて困難と言わざるを得ない。
今年は、猛暑ではあったが9月の日照時間は極めて少なかった。稲刈り前の数日の天気でコメの出来が大きく違うようだ。
コンバインの運転は小型の戦車のようで面白い。しかし 秋とは言え、炎天下の作業は暑い。
コンバインに集められたモミ袋を軽トラに移す。
軽トラに積めるだけ積んでカントリーエレベーターに運び込む。
田植えも同じであるが、日本中で稲刈りは同時期一斉に行われる。当然カントリーエレベーターへの納入には軽トラの長い列ができる。日本人が周りの人間と同じ行動をとるという「文化」はここからきているという説がある。子供のころ読んだ「日本人とユダヤ人」に書いてあったのを思い出した。農家により作業時期を変えることができれば農業機械も共同で使えるのだろうが。こればかりは、自然相手の作業なので限界がある。
稲刈りが済むとすぐにシラサギが近寄ってくる。稲が刈られた田んぼでは、エサになるカエルやミミズが一斉に地表に出てくるからだ。言葉を持たない彼らはどこでそのことを覚えるのだろう。人間が農耕を始めたのはシラサギという生物の進化に影響を与えるほど昔ではないはずだが。
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