一人旅は得意ではない。不安だしなにかあるとパニくる。それも日本人などめったに行かない場所だとなおさらだ。そんな私が2年前の8月、ふらっとアメリカからメキシコに車で向かった。米国在住の仲間からは危険だから絶対に車では行くなと念を押されていた場所だ。国境のまでは、当時住んでいた米国サンタ・クララの街から南へ500マイル(800km)。車で10時間ぐらいはかかる。ロス・アンジェルスを抜け、サンディエゴを抜けるころにはあたりは暗くなっていた。
ルート5を南へひた走る。写真はサンディエゴの教会。すごくお金かかっていそうな立派な建物だ。
アメリカとメキシコの国境をまたいでハイウェイは続いている。しかし ここでハイウェイを降りないとアメリカへは戻れないかもしれない、、。あわててハイウェイを降り、今日はサンディエゴで一泊である。明朝徒歩で越境することにした。
サンディエゴの南端にあるメキシコへの入口。国境は鉄の扉であった。大きなマシンガンを持った兵士が2人にらみをきかせている。国境越えは体がこわばる。
国境の街 ティファナ。メキシコの国旗がたなびく。
街のシンボルアーチ。光が心なしか強い。風が乾いている。やはり ここはメキシコだ。
街は古くてホコリっぽい。車も古いものが多い。昭和40年代にタイムスリップした感じがする。街に似つかわしくないほど立派な教会がある。昔見た西部劇に出てきそうな教会だ。
観光都市でもあるこの街はラテンの香りがする。写真に警察の車両が見える。
タコスを食べたいがおなかを壊しそうな感じだ。ビビったあげく、結局ハンバーガーを食べた。まったく何しにメキシコに来てるんだ俺は。
陽気なマリアッチを奏でるおじさんが街角にいる。
原住民の衣装を着たおじいさん。時折 奇妙な音色の笛を吹く。
なぜか繁盛している薬屋さん。アメリカよりも薬が安いのだろうか。
本屋では革命戦士、チェ・ゲバラの伝記が目についた。店の親父が「自分が書いた本だ」と言ってしきりに勧める。やはり中南米では彼はいまだにヒーローだ。
市場は繁盛しているがとにかく臭い。肉にはハエがいっぱいたかっている。これも昔の日本での魚屋を思い出した。街をうろうろしているとポリスに呼び止められた。「おい おまえどこから来たんだ?」「日本人か、、このあたりはいいが絶対に裏道には入るな」「いい店を教えてやるからそこで遊んでいろ!」
体をシマウマのようにペイントされたロバのトミー君。ちょっとかわいそう。私がロバに乗ると観光客に取り囲まれ写真のモデルになってしまった。東洋人は珍しいのか?中国人観光客の姿はちらほら見かけた。
この街は、麻薬取引のメッカらしい。裏通りでは時々銃撃戦があるという。私の目の前で警察官が若い2人づれに手錠をはめていた。街中に警察がうようよいる。
ああ怖い。早くアメリカに帰ろう。でも アメリカへの入国審査には長い列に並び、何時間も待たねばなたない。一人づつ念入りな持ち物検査まで行われる。そういう意味では、日本のパスポートは世界最強だった。シンガポールとマレーシアの国境でも同じものを感じた。写真は、ずらっと並ぶ車用の入国ゲート。
徒歩の入国はこの長蛇の列の最後尾に並ばねばならない。国境の扉一枚でこれほどの格差が存在するとは。地続きの国境がない日本では考えられない光景だ。国家とは何なのか。考えさせられた旅であった。帰りに寄ったサンディエゴの街は本当に明るくて美しかった。
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