2015年02月07日

ISILの暴挙

 この20日間ほど連日のように報道されているISILによる人質事件。その非人道的なやり口に世界中が心を痛め早期解決を祈っているなか、先日 人質の惨殺という残念な結末に終わってしまった。報道を聞いているとこの暴挙に対し本当に腹立たしく思い、このような犯罪集団をなんとか殲滅できないのかと思ってしまう。憲法9条により軍事的なオプションを持たない日本、戦後一人の戦死者も出さず人道支援、後方支援に徹してきた日本。その平和主義の日本人をテロのターゲットにし、惨殺したISILに対して怒り倍増といったところだ。安部首相いわく「彼らに罪を償わせる」日本のリーダーとしては異例の強い言葉だ。ナショナリズムの血が騒ぐ。従来なら、この一言で左翼から袋たたきに合っているところだが、連日の彼らの非道の報に接しているとその通りだと思ってしまう自分がいる。


 ISILは、国家を名乗っているが、国家として承認をしている他の国はなく、単なるカルト集団でもある。プロパガンダによって世界中から集めた「兵士」は三万人を超えるという。米国をはじめとする有志連合によるISILへの連日の空爆、そして 自国のパイロットを火あぶりにされたヨルダンによる報復的な空爆が続いている。まさに、暴力報復の連鎖が続いている。日本もこの先テロの標的となる可能性が大きいとして警戒を強めている。


 しかし待てよと思う。こういう感情的な報復合戦は過去何度も繰り返してきた歴史がある。真珠湾の報復が、広島、長崎への原爆攻撃につながった。アルカイーダによる9.11テロ、その報復がアフガン攻撃、後にイラク戦争を引き起こし、ISILへとつながっている。日本は、その負の連鎖を断ち切る決断を70年前にしたのではなかったのか。ジャーナリスト後藤誠二さんが本当に伝えたかったこと。それは、暴力の連鎖の本当の被害者は、弱い者、子供たち、一般市民であることを命がけで訴えていたのではなかったのか。暴力では何も変えられないことを訴えていたのではなかったのか。彼の死を悼み、暴力の連鎖を肯定するのは全く逆の方向だと思う。ISILの真の目的は、平和主義の日本を再びこの負の連鎖に引き戻すことではないだろうか。


 日本は、このような国際紛争に対し軍事的なオプションは持てないが、それよりも多くの戦争抑止力を持つことはできる。経済力と技術力だ。これらを磨き上げ、平和的に駆使することにより世界を貧困から救い、より人間らしく暮らせる地球に貢献し続けることだ。正義の名のもとに人殺しはしない、そのことが最も合理的な平和への方法論であることを世界に知らしめるべきだ。そういう国の国民であることを誇りに思うナショナリズムは持っていいと思う。決して適切な事例ではないが、日本は今でもその気になればいとも簡単に原子爆弾を造れる技術力とプルトニュームを既に持っている。(本当に造っては、いけません!)また 今回の事例でいえば、現地情報に関してもっと積極的に収集していくこと、インターネットやサイバー空間での情報戦も一つのオプションかもしれない。(米国はサイバー攻撃を軍事攻撃と同等に見ているらしいが。)言葉にしなくとも高度な技術力はその使い方で十分潜在的な抑止力になりうる。積極的平和主義とは、他国の軍事行動に加担することでは決してないと思う。

posted by kogame3 at 15:14| Comment(2) | 歴史認識
この記事へのコメント
正しくは後藤”健二”さんです。せいじさんはIMCで頑張ってます。

また楽しいお話聞かせて下さい!
Posted by にしむらゆきと at 2015年02月23日 18:54
ばれましたか。後藤誠二さんに敬意を払いこのままにしておきます。また コメントくださいね。
Posted by kogame3 at 2015年02月25日 23:18
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