2015年03月22日

諸君 狂いたまえ!

 大河ドラマ「花燃ゆ」。伊勢谷友介さん演じる吉田松陰がめっちゃかっこいい。7年程前、出雲に住んでいたころ、萩まで一人旅をしたのを思い出した。当時は、こんな私にも少なからず若い部下がいた。変化の激しい時代、優秀な弟子を多数育てた松陰先生の思想を知りたいと思い立ち、萩を目指した。出雲から萩までは国道9号線を西に200kmあまり、 車で3時間半の道のりである。山陰の海はどこまでも碧く、あまり知られてはいないが、日本で一番美しい。ずっとこの海岸線を眺めながらのドライブである。萩の街に近づくと明らかに風の香りが変わる。思わず車を乗り捨て、自転車に乗り換えた。黒潮の香りである。海の色もどこか温かい。

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萩の街に入ったとたん、海の色、香り、雰囲気ががらっと変わり、どこかエキゾチックなものを感じた。

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うに丼。うまい。

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萩の市内を縦横にはしる路地は、整然とした土塀が現存し歴史を感じさせる。私はほとんどの路地を、自転車で走り抜けた。街のいたる所に、歴史的な名所や記念碑がある。そして、街の人たちは、今でも彼を「松陰先生」と呼び、尊敬の念を持ち続けている。「歴史に学ぶ」とはこういうことなんだろうと思う。


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この小高い山は、街のシンボル萩城跡である。三方を海に囲まれた海城だ。


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立派な石垣が残っている。


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お城の裏側に回ると、海に突き出した石垣があった。山城しか知らない私には異国情緒さえ感じさせた。きっとこの風景、風土が多くの英雄を育んだのだろう。

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そして いよいよ松陰先生に会いに松陰神社へ。

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境内には、松下村塾の現物が移築されている。


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 建物の中には、塾生たちの写真や肖像画が並ぶ。幕末の志士 久坂玄瑞、高杉晋作、明治の新時代を築いた伊藤博文、山縣有朋、塾生ではないものの松陰の教えを受けた桂小五郎などなど本当にすごい革命家たちの顔が並ぶ。日本を、列強の植民地支配から救うために命をかけた人たちだ。このあとも、山口県からは多くの総理大臣を輩出している。

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 松陰の人材育成姿勢を示すものがあった。彼は、上から目線で弟子を教えるという姿勢ではなく、塾生と共に行動し、ともに議論し、ともに考えるというものであった。師匠と弟子が共に教え合う「弟同行・師師弟共学」というスタイルである。彼は弟子入り希望の者にあなたは私に何を教えることができますか?」と問うたという。 弟子個人個人の長所を認めそれを伸ばした。現代の組織学習に近い考え方だと思う。ふと 若いころ、先輩社員から教わったフランスの詩人ルイ アラゴンの言葉を思い出した。「教えるとは、ともに希望を語ること。学ぶとは、誠実を胸に刻むこと。」今も私の座右の銘である。リーダーの最大の仕事は人材育成であり、その志は未来を変えることを彼は今も私たちに教えてくれている。

 「諸君 狂いたまえ!古い考えや価値観にとらわれてはいけない。行動の時だ!」と松陰は叫ぶ。過去の価値観の中で生きることは容易い。楽だ。しかし 彼は、あえてそれを否定し革命に走る。とんでもなく危なっかしい人物だったのだろう。逆に現代日本は、保守的に、地道に、ひたむきに生きることを良しとする風潮が強すぎると思う。ある人に言わせれば、世界は既に「テロと戦争の時代」に突入したという。米国が「世界の警察官」の役割を放棄した。ロシアがクリミアやウクライナで武力による国境の変更を成し遂げ、核の使用準備までしていた。中国がアジア各地で領土問題を引き起こし、経済的には米国と対峙しようとしている。日本があれだけ費用負担をしてきた国連は、これら安保常任理事国の分裂と拒否権の応酬で機能不全となりかけている。イスラム社会はこの狭間で混迷を深めテロの拡散が止まらない。この先、日本のポジションをどう取るのか、現代の吉田松陰が必要な時代なのかもしれない。諸君、狂いたまえ!

posted by kogame3 at 23:26| Comment(0) | 日記

2015年03月21日

バッテリーBOXの製作

 やっと春やしくなってきた。1月2月は寒過ぎて車庫で作業なんかする気分になれなかったが、3月の半ばを超えると急に暖かくなってきて勝手に体が動く。これが 仕事だったらそんな甘いことも言ってられないだろうに。まったく身勝手なものだ。

 そんなわけで 早速 バッテリーBOXを組むことにした。材料は、厚み12mmのコンパネとアルミ製アングル材、そして建築用の5mm厚 ポリカーボネイトの平板である。ポリカの耐候性は非常に高く、20年前に建てた車庫の屋根の波板がいまだに割れずに役目を果たしていることに驚いている。今回ぜひ使いたかった材料だ。BOXの大きさは幅930mmx奥行き850mmx高さ250mmとした。これは ベースカーのトランクの寸法的な制約と搭載バッテリーの数と大きさと数から決定した。

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ポリカの樹脂版は2枚重ねで剛性をアップした。なかなか良い感じだ。

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しかしながら「魂は細部に宿る。」である。このあたりが親父のち密さにまだまだ追いつけないところで私の欠点だ。

このBOXに、12V 40Ahの鉛バッテリーが24個入る。総電力量は11.5kwhとなる。これは、日産リーフの容量の半分以下だ。総重量は270kg程度になる。最初からLi電池での挑戦はせず、まずは地道に鉛バッテリーで車の完成度を目指すこととした。Li電池は、未だBMS(バッテリーマネジメントシステム)が不安定なものが多く実用に耐えるものが個人では手に入りにくい状況にあるそうだ。そういう意味では、鉛バッテリーの方が、性能は低いが、耐久性と扱いやすさ、コストの安さでは勝る。

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ベースカー メルセデスベンツS500のトランクに載せてみた。なんだか小さく感じる。これで一体どのぐらい走れるのだろうか。
posted by kogame3 at 16:51| Comment(0) | 改造電気自動車W140

2015年03月19日

オートマチックトランスミッションのメカニズム考察

 オートマチックトランスミッションのオーバーホールも最終段階となった。あとは、バルブボディーを組み付けるだけだ。しかしながら、オーバーホールをしてもこの部品のメカニズムの理解が全く進んでいない。今回は、ちょっと時間をとってメカニズムの勉強をすることとした。

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最終段階にきたオートマチックの本体。

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こちらは 部品の組立て図。いくら眺めてもメカニズムはさっぱりわからない。

まずは、遊星歯車機構とはなになのかを調べる。

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図1 遊星歯車機構は三種類の歯車でできている。中心の太陽ギア(黒)、その周りの遊星ギア(白)、外周のインターナルギア(赤) 図はスター型と呼ばれる動作モードで遊星歯車の公転を止めている。出展wiki

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図2 プラネタリ型。こちらは 外周のインターナルギアを止めた動作モードである。この場合、遊星歯車が太陽歯車の周りを公転する。


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図3 上の図は、ソーラ型と呼ばれる太陽歯車を固定した動作モードである。この場合は、遊星ギアの公転とインターナルギアの回転が起こる。二つの回転方向は同方向でインターナルギアの方が速く回る。

 太陽歯車の回転数が一定でも、遊星歯車の公転回転数により外周のインターナルギアの回転数が変わる。この逆も言える。インターナルギアの回転数を制御することで、遊星歯車の公転回転数をコントロールできる。オートマチックトランスミッションでは、この3つの動作モードを駆使し入力軸の回転数を変速している。

次にオートマチックミッション 前進4速後進1速の機構モデルを書いてみた。

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この図において、同じ色は同じ回転数で回る部品である。(赤:出力軸、リアの遊星ギア、フロントのインターナルギア。黄:インターナルギア。黒:フロントの遊星ギア。ピンク:フロントの太陽ギア。青:入力軸とリアの太陽ギア。)構造的には、フロントとリアの二つの遊星歯車機構を組み合わせた格好だ。C1〜C4は 油圧で接続のオン オフをコントロールできるクラッチ、B1,B2は、それぞれ回転を止めるブレーキ、O1,O2は、回転を一方向に制限するワンウェイクラッチである。ワンウェイクラッチはクラッチという名前がついているが、一方向にだけ回転するベアリングである。自転車の後輪ギアと車軸との間に入っている。これらのクラッチとブレーキをバルブボディーで油圧経路を切り替えることで作動させ減速比(増速比)を自動的に切り替える。

1速の時は、リアのインターナルギアが停止して、リア遊星歯車機構の減速比で出力されているのがわかる。図2と同じ状態がここで実現している。

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2速の時は、リアのインターナルギアが、順方向に回転をはじめ、1速より早い速度で出力軸が回転する。この場合、フロント遊星歯車機構において太陽ギアが固定され、図3と同じ状態が実現している。

図には示さないが、3速では、入力軸と出力軸が同じスピードで回り、4速では、これが増速されオーバードライブとなる。

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最後に、 リバース回転、すなちバックの時である。この場合は、フロント遊星歯車機構の遊星ギアホルダーがブレーキで回転を止められ、C2クラッチで太陽歯車が入力軸に接続される。このことにより、インターナルギアが逆回転をする。図1と同じ状態がフロント遊星歯車機構で実現している。

これらの 変速のタイミングは、車速やアクセル開度、加速時や減速時で変化させる機構が別途ある。電気自動車に適応させるために、このタイミングを再設定する必要があるかもしれない。

遊星歯車機構1個でも完全に理解するのはややっこしいが、これが2個組合され、それぞれの接続やブレーキをコントロールしているメカニズムは理解するのが結構難しい。最近の7速オートマなんかはこの遊星歯車機構が3つ組み込まれている。なんでも 原理が理解できればあとは力仕事の応用だ。今回は、最もシンプルな構造をある程度理解できたのでこれで良しとしよう。
posted by kogame3 at 16:20| Comment(0) | 改造電気自動車W140