2015年01月31日

嫌われる勇気 アドラーの教え

人が本当の自分を知るためには、他人の視線を通して自己を見つめること。すなわち、他人の言葉の中から自分に関する情報を探し出し、自分の知りえない自分自身を知るしか方法がない。それは、本当の自分を受け入れられない人間にとっては恐ろしいことでもある。ゆえに、人は他人に嫌われたくないという意識が自然と働く。


 「承認欲求」とは、人間が組織や他人からその存在を認められ、褒められ、賞賛され、感謝されることを願う欲求をいう。マズローの唱えた欲求5段階説のなかにもその欲求がある。人間がこの世に生れて初めて持つ人間関係が親との関係だ。親から認められずに育った人間は健全に成長できない可能性が大きいとされる。たとえば、親から暴力を受けた子供の場合、「この世界は恐ろしいものだ。自分は必要のない人間だ」という刷り込みが生まれ神経質な人間になる。親からの愛情が欠落した場合、大人になってもその愛情を求めてさまよえる人になってしまう。それ以上の崇高な人間的成長欲求が生まれず、人間の成長ができにくいとされる。この説は、健康な人間の成長を調査しそれをベースに論じたマズローだけでなく、深層心理の存在を提唱したフロイトやその思想を受け継いだユングも同じ結論に行きついている。アダルトチルドレンの問題、褒めて育てる教育論などもこの考えに根付いている。その人の存在を認める承認とは、その人の人生にとってかくも重要なものである。


 会社組織の人事制度にもこの「承認欲求」がベースにある。社員の持っている「承認欲求」を巧みに操り、その人の仕事へのモチベーションを煽る。当然ながら金銭的な処遇も仕事のモチベーションにはなりうるが、私が一番ストレスに感じたのはこの「承認欲求」をベースにした人事制度である。自分が評価され、組織での地位を与えられるため、評価者である上司のために仕事をするように促す制度である。特に現場から離れれば離れるほどこの傾向は強くあった。地位とは、組織から与えられた承認の形そのものである。仕事の意義そのものにモチベーションを見出している人と地位(承認)を得るために働いている人が混在していた。これに輪をかけて話を複雑にしているのは、近年会社組織で最も優先されている言葉「顧客指向」がある。すなわち、仕事の価値は、自分(たち)で決められるものではなく、顧客(社会)が決めることである、ということだ。この考えが、個人にも拡大適用され、個人の価値は他人が決める、他人(上司)に認められない人間は少なくとも会社では価値がないという短絡的な解釈につながっている。人の価値を肩書きで測るということだ。どこかにいびつなものを感じながら、会社員人生を送っていた自分がいる。


 「嫌われる勇気」この本では、アドラーの考え方を紹介している。彼はこの「承認欲求」に囚われた生き方そのものを否定し、それらからの「自由」を勝ち取る「勇気」を持つことを勧めている。また、人間の過去の生い立ちや経験、トラウマを原因として、精神的な発達を妨げるとしたフロイトやユング、そしてマズローの因果論的な考え方ともたもとを分かっている。アドラーの教えは、にわかには飲み込めにくい考え方ではあるが、非常に新鮮だ。人の生き方を根底から変える力強さがある。アドラー的な生き方を実践するには、その人の年齢の半分の時間がかかるという。自分自身、歳を取り過ぎた感もあるが、まだ少しアドラー的に変化する余地もありそうだ。

posted by kogame3 at 00:03| Comment(0) | 日記

2015年01月24日

オートマチックミッションのオーバーホール その2

 現在 太陽光発電の自宅屋根への設置を検討している。今年度中に経済産業省に申請すればこの先20年間 32円/Kwで売電ができるという。初期投資の償却が10年で済めば後の10年間は丸儲けという話だ。おいしい話に聞こえるが、いろいろなリスクがある。そんなに長い間設備が機能するのか。自然災害で設備が破損しないか。天候不順で所定の電力が発電できないリスクはあるのか。一番心配なのは10年以上先には世の中がどうなっているのかわからないということだ。安い買い物ではない。昨夜もセールスマンに粘られた。軽い気持ちで見積もりを依頼したところ、ぜひ見積もりだけでもさせてくれと頼まれたので話を聞いていた。しかし、いつの間にが判断を先延ばしにしている私の方が追い詰められている。変な話だが人間の心理とはそういうものだろう。時間が ないないと言われると なぜか焦ってくる。

 オートマミッションのオーバーホールも分解が済み、組み立て工程に入った。とその前にボディーの掃除をした。

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灯油やアルコールを使ってワイヤブラシとサンドペーパーで積年の油汚れを落とす。アルミ鋳物の本体は 往年の色を取り戻す。狭い部屋は、匂いが充満し、頭がガンガン、クラクラする。

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新品のガスケットやOリング オーバーホールキット。こんなものが、10万円以上する。

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こちらは取りだしたクラッチ板。

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ふと オイルシールが熱で劣化している箇所を見つけ、おもむろに交換作業を始めた。そこに さっきの太陽光セールスマンが押しかけてきた。もう少し考えさせてくれと言ってもなかなか帰らない。申請期日までの時間はもうないという。日本中で申請が殺到し、間に合わなければ来年度は買い取り価格がドスンと下がるという。相手も必死だ。深夜の11時近く5時間粘ったあげくにやっとお引き取り願った。熱意はわかるが、、、。

気になっていた作業を再開した。深夜2時オイルシールの交換が終わった。とおもったとたん何を勘違いしたのかシールのリップ部を挿入スリーブでたたいて壊してしまった。

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ああー やってしまった。本日の教訓。「急いては事を仕損じる」
師匠 ごめんなさい!
posted by kogame3 at 13:55| Comment(0) | 改造電気自動車W140

2015年01月15日

オートマチックミッションのオーバーホール

今日は 久々に師匠が来てくれて、ベンツのオートマチックミッションのオーバーホールをすることになった。電気自動車でオートマチックミッションを使うことにはエネルギーロスの関係上賛否があるが、メルセデスベンツの場合これしか選択肢がない。この作業は、久しぶりに精密機械らいしい光景であった。今回は、機械式前進4速のオートマチックミッションである。現在主流の電子制御ではないためいろいろと面白い機構が見られる。

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バルブボディーをサクサクと分解する。

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なんで こんな迷路のような溝加工が必要なのかわからないがとにかく複雑だ。

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トルクコンバーターをはずし、前からの部品をどんどん外す。軸の周りに遊星歯車機構が少し見える。この軸がなかなか抜けない、、、。

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やっと抜けた軸。すり減ったクラッチ版が見える。こいつを交換することがオーバーホールの最大の目的だ。

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centrifugal governor(遠心ガバナー)という部品。主軸からヘリカルギアで回転を直角に取り出す。その遠心力で先端のアームが開き、軸中空内部のピストンンを動かす。それで油圧経路を切り替え、変速を行う。

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アーム部分の拡大。なんとも不思議な部品だ。でも 機械式オートマチックならではの部品だ。電子制御と比べ壊れにくく信頼性が高い。(らしい。)

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倉庫を改装してつくった作業場。なんだか、楽しい。
posted by kogame3 at 19:57| Comment(0) | 改造電気自動車W140